アベノミクスをきっかけに、企業の業績も回復。改めて社員教育を重要視する声が聞えてくるようになりました。とはいえ、まだまだ無駄遣いはしたくないのが企業の本音。クライアントの研修を見る目はシビアです。
一方、研修会社は常に良い講師を探していますが、優秀な講師は少ないので、研修担当者の悩みは尽きません。
また最近ではセミナービジネスも活況になってきました。毎週末いたるところでセミナーが開かれており、セミナー講師という職業も知られるようになりました。
「コーチは稼げないけど、講師は稼げる。」
そんな印象を持っている人も多いのでしょう、講師志望者は増え続けています。
ところで、今注目のセミナー講師と企業研修の講師は何が違うのでしょう？
実は求められる能力に違いがあります。
セミナー講師に求められるのは、「集客力」と「商品力」。
困っている人を助けるような商品を作り、それを欲しがる人を沢山集めること。これがセミナービジネスであり、セミナー講師はお客様が商品を買うように仕向ける営業マンみたいなものです。セミナーの参加費で儲けようとはせず、あくまでもバックにある商品で利益をだします。
企業研修講師に求められるのは「教育力」。
純粋に相手のスキルの向上を目的に研修を行うので、教師に近い仕事です。報酬も、参加者からもらうことはまずありません。クライアント企業の目的に沿って、社員の教育をすることで、クライアント企業から報酬をもらいます。したがって、集客する必要も、そこで何かを売ることもありません。
もちろん、「目の前の相手をその気にさせる」という点においては共通するので、ストーリーの組み立て方や話術を学ぶ必要はあります。ただ、セミナー講師はそれよりも集客と商品が重要であり、企業研修講師は、軸足がしっかり教育に置かれているのです。
どちらがなりやすいかと言えば、セミナー講師です。
名乗った瞬間からなれます。依頼されなくても自らセミナーを開けば良いのです。
話題性のある内容で商品を作り、上手に集客できれば、後はなんとかなるものです。
ただし、最近よく見かける「セミナー講師育成講座」のほとんどは「セミナービジネス」のやり方を教えるものであり、扱うのは講師の現場スキルではなく集客方法や商品作りがメインなのでご注意ください。
それに対して企業研修講師は、選ばれて依頼されないと始まらないので、ハードルは高いです。
クライアント担当者の目もシビア。希望しても、なかなかなれないのが企業研修講師です。
しかし、一度評価されれば、流行に左右されることもなく、安定的に仕事ができるようになります。
自分のカリキュラムが確立できればさらに盤石になります。
ただ、本気でなりたいのなら、プロと呼ばれるだけのスキルを身につける必要があります。講師になりたい人は多いので、クライアントから指名されるくらいでないと、継続的に仕事を得ることは難しいでしょう。
さて、企業研修講師には、研修会社に登録してそこから仕事をもらう「派遣講師」と、直接クライアント様と取引をして研修を請け負う「独立講師」がいます。
一般的には、「派遣講師」→「独立講師」と進んでいくことが多いようです。
その大きな違いは「自分でプログラムを用意できるか否か」です。
派遣講師は研修会社のプログラムを使い、独立講師は独自プログラムを使って研修を行います。
独立講師は、営業→研修企画→プログラム作成→研修実施の全ての過程を行います。
派遣講師は、与えられたプログラムを実施するだけなので、負担が少ないのです。
負担の違いは、報酬の違いに直結します。
同じような研修でも、報酬が8万円の講師と30万円の講師がいるということです。
安い講師が重宝されるかといえばそうではありません。不況時に真っ先に切られるのは実は安い講師であり、代わりがいくらでもいるのも安い講師なのです。
報酬が高い講師は、シビアなクライアントが高いお金を払っても来て欲しいと思っている講師です。それだけの理由があります。
例えば、独立講師に求められる要素としては、豊富な話題、受講生から憧れられるだけの魅力、研修の企画から受注までを確実にこなせる高度な事前準備力、受講生の観察・指導力を含めた現場力、そしてどんな状況になっても自分の講師スタンスを失わないタフな精神力など、挙げればきりがありません。
結論としては…
- １企業研修講師として評価を勝ち取れば、流行に左右されない安定的な仕事になる。
- ２社会的信用も高く、人の人生に影響するようなやりがいのある仕事であること。
- ３その代わり、責任感をもって自分を律する心の強さが必要なこと。
サードプレイスは、研修講師として「腕を磨くこと」「強い心をキープすること」のサポートをしています。
一人で戦うには限界もあります。自分だけでは出来ないことは仲間と協力し合って、お互いに切磋琢磨＆向上することが大切です。
